ティムさんてどんな人?
1999年10月 友の会ニュース第19号掲載記事より
<小澤洋介談>
 私とティムとの出会いは、ちょっと運命的でした。
今からかれこれ17、18年前、ザルツブルクのモーツァルテウム音楽大学に入学しようと入試の日、不安な面持ちで試験会場へ。順番を待ち、前の人達が次々中へ入り、弾き終わって出てくる。だんだんと自分の順番が近づいてくる。緊張は最高潮。そこへやっぱり同じようにヴァイオリンで受験する日本人女性らしい学生が意気揚々と教室へ入っていった。うまくいったのだろう、このくらいお茶の子サイサイとニコニコしながら出てくる、余裕のある人もいるものだなぁ、などと考えているうちに自分の順番だ。

 「名前は?」
 「ヨースケ オザワです。」
 「ドイツ語は大丈夫かね??」
 「はい」
 「それでは弾いてみたまえ」

そこで、持参の伴奏譜をピアニストにわたす。
実はこの時の伴奏者がなんとティムだったのでした。彼は、ちょうどウィーンの音大を卒業してモーツァルテウム音楽大学の専属伴奏者となったばかり、ちなみに前記のヴァイオリニストが素子さんでした。
 現在、彼は故郷のイギリスのロンドンに住み、「イギリスピアノ三重奏団」というサンクト・フローリアンのようなピアノ三重奏団を主宰し演奏活動を行っています。奥さんのマリアンネさんは、フランス人のチェリストで私の同門、ザルツブルクで一緒に勉強してました。そして双子の小学生の息子と娘の4人家族です。
彼のお兄さんはイギリスで有名なシェークスピア俳優(最近はテレビドラマなんかにも出演しているそうです)、妹さんはジョッキー(騎手)、義兄は画家で、姉はたしか作家、そして彼が音楽家なのでユニークな兄弟です。
彼と一緒に行動してとにかく、どこへ行っても苦労するのが、彼の菜食主義。16才の時学校で屠殺場を見学してショックを受けて以来、生き物は殺したくないということから、肉魚は口にしないということ、つまり厳格な??お坊さんっていうとこでしょうか。(確かに京都に行ったときは、湯豆腐や、精進料理があって本当に苦労しませんでした。)皆さん、例えば車で移動中、ファミリーレストランに入ったとして、どれだけのものがOKでしょう? 先日ジョナサンではトマトソースのスパゲッティーだけでした。(和食もほとんどカツオのだしが使ってあります。)
とにかく、いまだにこんな人いるのっていうくらいオールド・ファッションの生粋のイギリス紳士の一面と、イギリス特有のユーモアのセンス、とにかく、食事以外では素晴らしいパートナーです。